SSK PRESENTS スポーツポータルサイト ウェブリーグSSK PRESENTS スポーツポータルサイト ウェブリーグ
トップへ はじめての方 メールマガジン登録 サイトマップ 新規会員登録
 
コミュニティTOPへ コマースTOPへ インフォメーションTOPへ ニュース スポーツ施設 コーチ ライブラリ
コーチ

メタボリックシンドロームになりやすい体質
 最近,「メタボリックシンドローム」ということばをよく耳にするようになりました。これを日本語に直訳すると「代謝性症候群」となり,「糖質,脂質などの代謝の問題に起因するインスリン抵抗性,高血圧,高脂血症などの疾病」ということになります。放置すると,糖尿病,動脈硬化,心筋梗塞,脳血管障害などの重篤な生活習慣病につながります。一方,こうした状態は内臓脂肪の蓄積と密接な関係があることから,「内臓脂肪症候群」と訳される場合が多いようです。最近の研究から,このメタボリックシンドロームになりやすい体質に関する理解が進んできましたので,今回はこの点についてご紹介します。

【内臓脂肪が問題となる理由】
 内臓脂肪の由来については,正確には分かっていませんが,元来腸間膜などに微量に存在していた脂肪前駆細胞や多能幹細胞(何種類かの細胞に分化する能力を持った細胞),骨髄で作られ全身を循環する多能幹細胞などの細胞が増殖し,脂肪となったものと考えられています。こうした若い脂肪組織は内分泌活性が高く,以前ご紹介したように,レジスチン,TNF-α,インターロイキン-1,PAI-1,などの「アディポカイン」という物質を多量に分泌します。これらの物質は,インスリン抵抗性,糖尿病,動脈硬化などの直接の原因となります。一般に女性は皮下脂肪の細胞数が多く,脂肪のキャパシティーも大きいために内臓脂肪が付きにくく,逆に皮下脂肪のキャパシティーの小さな男性は内臓脂肪が付きやすいと考えられます。疫学的調査から,厚生労働省では,ウエストサイズが男性で85 cm,女性で90 cm を超えるとメタボリックシンドロームの危険性が高いと規定しています。

【β3-受容体の多型】
 遺伝子の変異が1%以上の頻度で起こる場合,これを「多型」といいます。特に, DNA配列をつくる塩基が1個だけ置き換わった多型を「1塩基多型」(single nucleotide polymorphism: SNP)といいますが,ヒトの全ゲノム上には約一千万か所のSNPがあり,体質や素質を含む個性の源と考えられています。肥満体質に関連したSNPとして最もよく知られるものが,「β3 アドレナリン受容体」(β3-AR)をつくる遺伝子の多型です。この多型は最初,肥満が多いピマインディアンで見つかったもので,1個の塩基の置換により,64番目のトリプトファンというアミノ酸がアルギニンに変わってしまいます。その結果,β3-ARの機能が著しく低下します。β3-ARは脂肪細胞の細胞膜にあり,アドレナリンやノルアドレナリンを受容すると,細胞内で中性脂肪を分解する酵素「ホルモン感受性リパーゼ」を活性化します。したがって,このSNPは脂肪分解活性の低下につながります。実は,日本人にもこのSNPが多く,34%の人が持っています。Sakane(2001)の調査によれば,このSNPを持つ人は,そうでない人に比べて内臓脂肪量が平均で50%多いとされています。さらに,このSNPを持つ人は,安静時代謝が約200 kcal/日 低いと報告されています。

【脱共役タンパク質の多型】
 脱共役タンパク質(uncoupling protein: UCP)はミトコンドリアという細胞小器官にあって,有酸素性代謝とATP合成反応の間の共役を妨害し,栄養素のエネルギーをすべて熱にしてしまうタンパク質です。エネルギーの浪費のようですが,体温の発生に重要です。UCP-1は「褐色脂肪」,UCP-2は白色脂肪,UCP-3は主に筋肉にあります。このうち,遺伝子多型がよく研究されているのはUCP-1です。UCP-1の遺伝子には,3826番目の塩基がアデニンからグアニンに置き換わったSNPがあり,これによって正常なUCP-1ができなくなってしまいます。日本人の24% がこのSNPを持っています。ヒトでは,褐色脂肪は胸からわきにかけて40g 程度しかありませんが,UCP-1のはたらきによって,体熱生産のうちの約20%を担っています。基礎代謝のうち約60%は体熱生産に使われますので,UCP-1のSNPによって,基礎代謝が(60%×20%)=12%,すなわち100 kcal/日以上低下します。

【脂肪細胞を増殖させるPPAR-γ】
 反対に,プラスの効果をもつSNPもあります。PPAR-γと呼ばれるタンパク質は,脂肪前駆細胞やその他の幹細胞が脂肪細胞に分化するときに重要なはたらきをします。すなわち,脂肪細胞の増殖そのものに関係しています。このタンパク質には,12番目のプロリンがアラニンに置き換わるSNPがあります。PPAR-γ欠損マウスは,高脂肪食でも太らないため,ヒトでも「太りにくい体質」に関係しているものと想像されています。

【ケーキ1個分のハンディ】
 上のβ3-ARとUCP-1につて見ると,日本人のうち(34%×24%)=8.2% の人は,双方が正常型の人に比べ,安静時代謝が少なくとも300 kcal/日低いということになります。1日あたりケーキ1個分のハンディといえます。たかがケーキ1個分ですが,体脂肪に換算すると,約40 gになります。1年では,体脂肪約14 kg です。運動に換算すると,約5 km/日 のジョギング(体重60kgの場合)に相当します。このように考えると,メタボリックシンドローム予防のためには,まず自分の遺伝的特性を知っておくことが有用と思われます。若い人の場合,普段は太っていなくとも,活動量が減ったときに太りやすい傾向があると要注意でしょう。



前の記事へ 次の記事へ
ウェブコーチ
メンタル
ビジュアル
フィジカル
コーディネーション
ビリオダイゼーション
健康
松木安太郎サッカー
コンディショニング
ジュニア
知覚トレーニング
常足(なみあし)入門講座
屋敷 要の「野球書」

このページのTOPへ戻る ページトップへ
Copyright (C)SSK Corporation. All rights reserved.Copyright 2005 SUSUMU MATSUSHITA. All rights reserved.