SSK PRESENTS スポーツポータルサイト ウェブリーグSSK PRESENTS スポーツポータルサイト ウェブリーグ
トップへ はじめての方 メールマガジン登録 サイトマップ 新規会員登録
 
コミュニティTOPへ コマースTOPへ インフォメーションTOPへ ニュース スポーツ施設 コーチ ライブラリ
コーチ

エアートレーニング!?
今年の11月に、「筋肉まるわかり大事典(第2巻)」という本を出版しました。既刊の第1巻の続編で、質問に対する回答という形式をとっていますが、編集者の方の持ってくる質問の中には答えに窮するものも多く、苦労しました。そのひとつに、「エアートレーニングとは?」というのがありました。どうやら、「エアーギター」のように、バーベルを持ったつもりで行うトレーニングのようでした。その時点では、何やら怪しげに思えましたので、「コアートレーニングの間違いでは?」などといって、結局この項目は没になりました。しかしその後、別の総説を執筆している最中に、ひょっとすると「エアートレーニング」は可能かもしれないという発想に至りました。

【筋力増強・筋肥大のトレーニング条件】
 ご存じの通り、筋力を高めたり、筋を肥大させたりするためには、いくつかの条件を満たす必要があります。通常のアイソトニックトレーニングの場合には、1)負荷強度として65%1RM(1RMは最大挙上負荷重量)以上を用い、2)最大反復回数(RM)ないしそれに近い反復回数で、3)3セット以上行う、という条件です。これは、多数の実験結果にもとづく「最低保証ライン」のようなもので、アメリカスポーツ医学会(ACSM)が定めるスタンダードにもなっています。

【なぜ負荷が小さいとだめなのか】
 最低でも1RMの2/3の負荷強度が必要なことを説明する生理学的メカニズムは、筋線維の動員順序にあります。トレーニングによって肥大するのは主に速筋線維ですが、通常の筋力発揮では、遅筋線維から優先的に動員されます。つまり、大きな力を発揮しないと、速筋線維は使われないので、トレーニング効果も現れないということになります。ところが、事はそう単純でもありません。例えば、40%1RMの負荷で50回ほど反復をすれば、最後の疲労困憊に近いところでは速筋線維を使わざるを得ない状態になりますが、筋肥大や筋力増強効果はあまり得られません。おそらく、負荷の大きなトレーニングの各セットで、筋の中の速筋線維をくまなく使いきること、しかも1セットだけでなく、繰り返し何度も疲労困憊にまで追い込むことという代謝的な要素が重要であろうと考えられます。

【筋を手っ取り早く疲労に追い込む技術:加圧トレーニングとスロー法】
 低負荷で筋が肥大する「加圧トレーニング」は、手っ取り早く、しかも繰り返し速筋線維を疲労に追い込む技術ということができます。この方法では、筋の静脈を加圧によって制限しますので、筋の中がきわめて低酸素状態になります。こうした状態では、有酸素性代謝に依存する遅筋線維はすぐに機能低下しますので、負荷が軽くとも速筋線維に頼らざるを得なくなります。「スロトレ」で知られる「筋発揮張力維持スロー法」(TanimotoとIshii, 2006)では、外的な加圧は用いませんが、筋自体の収縮による内圧上昇を利 用して筋内循環を制限することで、加圧の場合と同じようなメカニズムがはたらきます。

【拮抗筋を負荷として利用する】
 「スロトレ」の場合、確かに負荷は低くすることが可能ですが、最低限、「筋内圧によって循環が制限されはじめる負荷強度」が必要です。これは、1RMの40?50%になります。したがって、いくら「スロトレ」でも、これ以下の負荷、まして「空気」では負荷になりえないと考えられます。ところが最近、丹羽と高柳(2006)は、30%1RMのレッグエクステンションを「ゆっくりとした動作」で行わせることで、大きな筋力増強が認められたと報告しています。この研究では、拮抗筋であるハムストリングスの活動に着目していて、30%1RMでトレーニングしている時には、ハムストリングスの活動が上昇し、同時に主動筋である大腿四頭筋の筋活動もきわめて強くなっています。つまり、拮抗筋の活動を負荷として利用していることになります。

【軽い負荷、スローで「意識」すること】
 丹羽と高柳の研究には、「スローに行う」以外に、「主動筋に意識を集中する」というポイントがあります。科学的に扱いにくいポイントですが、これが「主動筋をより強く活性化する」ことにつながれば、重量の相対負荷が小さくなりますので、必然的に挙上速度が増すことになります。ここであえて「スローに行う」ためには、拮抗筋でブレーキをかける必要性が生じるものと思われます。一方、70%1RMという高強度で行った場合には、「意識」をしても拮抗筋の活動は上昇しませんでした。これは、「相反抑制」といって、主動筋が強く収縮したときに、拮抗筋に対して邪魔をしないように抑制をかける反射がはたらくためだと思われす。

【究極の「エアートレーニング」】
 このように考えると、「エアートレーニング」は可能でしょうが、相反抑制という自然な生理機能と、どのように折り合いをつけるかが問題となると思われます。特に、主動筋自体の筋活動がきわめて高い状態でできるかどうかは、それなりに訓練が必要でしょう。ボディビルの「ポージング」は、最大限に筋を緊張させながら止まっていたり、ゆっくりと動いたりしますので、「究極のエアートレーニング」といえるかもしれません。



次の記事へ
ウェブコーチ
メンタル
ビジュアル
フィジカル
コーディネーション
ビリオダイゼーション
健康
松木安太郎サッカー
コンディショニング
ジュニア
知覚トレーニング
常足(なみあし)入門講座
屋敷 要の「野球書」

このページのTOPへ戻る ページトップへ
Copyright (C)SSK Corporation. All rights reserved.Copyright 2005 SUSUMU MATSUSHITA. All rights reserved.