Denmark Fun Soccer Clinicレクチャ−



1.Funサッカーとは何か

Funというのは、面白い・楽しいということである。普段我々が使っているサッカーファンなどと使うファンは、Fanである。私たちが、子供たちに教えるのは、サッカーを楽しむことである。技術指導等はその次にくる目標である。だから、誰でも参加できる。うまい選手だけでなく、はじめての子供も、みんなが楽しめるものである。

小さい子供たちにとって、サッカーはトレーニングではなく、遊びである。楽しんでいるかが重要なことになってくる。だから、常にサッカーをしている必要はない。Funサッカーからワールドクラスは生まれる。全ては、ファンサッカーから始まると考えている。どのワールドクラスのプレーヤーを見ても、早い年齢でサッカーを始めている。そしてサッカーの楽しさを経験してきている。ナショナルチームの選手、クラブチャンピオンの選手も、サッカーの中の「Fun」を求めてプレーしている。デンマークのトップ選手も、厳しいトレーニングの間に、Fun Footballをして楽しんでいる。

2.Funサッカーを通して

デンマークのFunサッカースクールでは、「スペースがあればサッカーをしましょう」と勧めている。「サッカーは楽しいから」それが一番の理由である。Funサッカーで大切なことは、モチベーションである。良い選手は、自分自身が自ら考えて、上達しようとしている。Funサッカーでは、新しい技術を、新しいアイデアを、 自分自身で発見できる。ただそれに不可欠なのは、良いコーチである。Funサッカーは、フィジカルトレーニングではない。練習量が増えていき、フィジカルトレーニングになるような、コーチではいけない。

サッカーの楽しさを体験し、新しい友人との出会うことを、教えることができるコーチでなくてはならない。子供たちに教えることは、自分たちで新しい技術や、自分たちの練習方法を、発見できるようにしてやることである。勝敗よりも、楽しくサッカーをすることが、重要になってくる。勝つことや、負けることは、コーチが言わなくても、様々なゲームを体験するプロセスの中で経験する。それらを体験しながら、サッカーを楽しんでいく中で、子供たちは成長していくのである。

3.Funサッカーの原理と方法

Funサッカーには、子供たち誰でもが参加できる。その子供のプレーを見て選んだり、ポジションにこだわったりという区別はいっさいしない。アメリカのサッカースクールで見たことだが、1つのグループに左サイドDFの選手ばかりを集めたり、そのグループに、左サイドの専門的なトレーニングばかりをさせたりしていた。また、高いレベルの選手ばかりを選んでスクールを実施している国もあった。Funサッカースクールではそういったことはしない。

子供たちの、プログラムはミニゲームを中心に組まれている。3対3、4対4、5対5などである、7対7以上にはならない。11対11にもならない。理由は簡単である、人数が多くなると、ボールをさわる回数が少なくなり、楽しめなくなるからである。コーチも子供たちが、リラックスした環境でプレーできるように心がける。コーチによる勝負のプレッシャーからも解放してやる。そのためゴールを決めた後の、パフォーマンスを、競い合うプログラムもある。

1つのテクニックのエクササイズには、1時間の時間をかける。デンマークでは、それぞれのエクササイズに、20分のプログラムを実施し、次にまた20分、最後に20分というふうに組み立てる。

技術を磨く練習をたくさんする。技術が大切になってくるのは明白である。そのために時間を費やす。コーチも良い準備が必要になってくる。次に何をするのか、何のために次のプログラムを実施するのか、といったことを確実に理解しておかなければならない。

また、休みの時間を利用して、フリスビ−、グランドホッケ−など他のスポーツもする。しかしこれらの動きも、子供たちが楽しめるものをアレンジする。そして休養も取る。体を休め、心を休めることも、また非常に重要なことである。

新しい練習道具も利用する。DBU(デンマ−クサッカ−協会)も子供たちへの新しい試みを、実施している。子供たちが、サッカーを楽しめることにつながる、Funサッカーコーチを多く作っていくことも必要なことである。

国によりいろいろな考え方がある。国によっては、子供たちがサッカーをするのは危険であるという考えもある。ではどのようにすれば安全にサッカーを楽しむことができるのかを我々が考え、子供たちが安全にプレーできるように教えてやることである。UEFAの子供のサッカー10箇条を紹介する。

1)誰でもプレーできる
2)参加者が楽しめる
3)競争よりもサッカ−を楽しむ
4)アクションは、ダイナミック、シンプルに、よりエキサイティングに
5)安全第一
6)プレーヤーは、自分のチームや自分自身の発展向上に責任を持って取り組む
7)フェアプレーが基本
8)ボールとの一体感で自由にのびのびとプレーすることが肝心
9)ゲームに愛着を感じることが大切
10)結果よりもチームワークが大切

4.デンマークのFunサッカースクール

デンマークでは女子も含めた様々な企画が、子供たちのために提供されている。 我々はその中で、Funサッカースクールを開催している。いろいろな地域を巡回し、月曜日から金曜日の5日間のスクールである。 8〜10才 11〜12才 13才以上に分けて、プログラムを実施する。

Funサッカーのコーチングマニュアルがあり、詳細まで書かれてある。コーチはそのマニュアルの中から、子供たちに応じたプログラムを実施していく。コーチのレッスンも重要で、その時間に何をするのか、どういった目的があるのか、また子供たちのリクエストを聞きながら、エクササイズを組んでいく力も必要になってくる。

コーチは、子供たちの友人であり、チームメイトである。コーチはその子供が「良い」「悪い」の判断をしてはならない。リラックスした環境を、コーチは子供たちに作ってやる必要がある。そのためには自分の、グランドでの役割を理解しておく必要がある。子供たち全員がキックの方法を、知っているとは限らない。デモンストレーションを行う必要も出てくる。誰もができるシンプルなエクササイズから、レベルアップしていく。やらせてみて、説明をするというやり方も、効果的である。少しずつでいいから、レベルアップしていき、できる・楽しさを感じさせていく。トップレベルのプレーヤーも、その技術の習得のためには多くの時間をかけている。

技術習得には時間が必要である。少ない時間でマスターできる子もいれば、多くの時間が必要な子供もいる。そんな子供たちを、比較してしまえば面白くない子供がでてくるのは当然である。子供たちは比較されるためにサッカースクールに来ているのではない。楽しみながら上達するため、成長するために、サッカーをしているのである。

5.トッププレーヤーとの関係

あるクラブは結果が大切だと考えている。新聞でどのチームが強くどのチームが弱いかでコーチの進退も決まってくる。そういう場には、楽しさはなかなか出てこない。選手たちも、クラブから、コーチから勝つことを要求され大きなストレスの中でサッカーをしている。

デンマークでは6月に15才の優秀な選手が集められる。200名程度の人数になる。代表コーチが、集まった選手たちを選考していく。この選手たちにアンケートを取った結果があるので紹介しておく。

@Funサッカースクールに参加したことがあるか、その回数。
YES=78%
NO=22%
参加回数    人数
1回     2人
2回    27人
3回    33人
4回    20人
5回     5人

A参加の理由
学んで上達したから      92%
新しいエクササイズを知った  82%
リラックスできる       94%
Fun(楽しい)       96%
社会的に良い経験ができた   98%
新しい友人ができた      74%